フッ素は危険って本当?フッ素中毒と虫歯予防効果について

      2022/01/29

こんにちは。綾瀬駅前のメリー歯科です。

現在はドラックストアなどでもたくさんの種類のデンタルケア商品が発売されておりますが、最近は特に、高濃度のフッ素が配合された歯磨き粉を多く見かけるようになりました。

実は、2017年までは市販で販売してもよい歯磨き粉のフッ素濃度は1,000ppm以下と定められていたのですが、2017年にはフッ素濃度の上限が1,500ppmにまで引き上げられたため、各メーカーから高濃度のフッ素が配合された歯磨き粉がどんどんと発売されるようになったのです。

そのため、「フッ素は虫歯予防に効果的」と思っていらっしゃる方も多いと思いますが、一方でフッ素の安全性に疑問を投げかける意見もあり「フッ素は危険と聞いた」「フッ素は体に悪いのでは?」という心配の声も聞きます。

そこで本日は、フッ素のついての基礎知識や有効性、危険性などをまとめてご紹介したいと思います。

 

そもそも、フッ素ってなに?

フッ素と聞くと、「何か特殊な化学物質なのでは?」と不安に思われる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし実は、フッ素はもともと私たちの身近な自然界のあらゆるところに存在する元素のひとつで、お茶や魚介類など多くの食品に含まれています。

また、フッ素には、「歯の再石灰化を促す」「歯質を強化する」「虫歯菌の発育を抑制する」「虫歯の酸の産生も抑制する」といった、虫歯予防に有効な作用が認められ、現在では世界の150以上の保健関連団体がフッ素の安全性・効果を基にその利用を推奨しており、日本においても、日本歯科医学会・日本口腔衛生学会・日本歯科医師会・厚生労働省などが、虫歯予防のためのフッ化物応用の安全性を保証しています。

 

フッ素利用方法と虫歯予防効果

フッ素を虫歯予防として利用する方法として、現在の日本では、フッ化物歯面塗布、フッ化物洗口、フッ化物配合歯磨剤の3つが主な方法として挙げられます。
それぞれ、メリット・デメリットがありますのでご自身に合った方法を選んで実践することが大切です。

 

フッ化物歯面塗布

歯科医師や歯科衛生士が比較的高濃度のフッ素を歯の表面に塗る方法で、歯科医院や市町村の乳幼児健診などで行われています。

うがいをする必要がないので、歯が生え始めたばかりの乳児でもできますし、うがいのできない要介護の方などにも有用です。

生えたての歯は虫歯になりやすい反面、表面のエナメル質にフッ素が取り込まれやすいという特徴を持っていますので、特に歯の萌出期、生え変わり期を通じて、萌出間もない歯に行うのが効果的です。

一般的に、乳歯であれば生後6か月頃~3歳頃、また永久歯であれば6歳頃~15歳頃にかけて全部の歯が生えそろいますので、15歳ぐらいまでは定期的に、年2回以上の塗布を続けることが需要です。

フッ化物歯面塗布の予防効果
乳歯に対する予防率は20~30%です
永久歯に対する予防率は20~30%です。
※フッ化物歯面塗布は単に1回受けただけでは効果は得られません。年2回以上定期的に継続して受ける必要があります。

 

フッ化物洗口(メリー歯科では行っておりません)

フッ素の入った液で1分程度ブクブクうがいを行う方法です。ブクブクうがいができるようになる4歳ごろから開始できます。

多くは保育園・幼稚園・小中学校など、施設単位で集団実施されていますが、個人的に家庭で行う方法もあります。

週5回法(フッ素濃度225ppm)と週1回法(フッ素濃度900ppm)があります。

フッ化物洗口の予防効果
小学校入学後(6歳)から実施した場合の予防率は30%前後です。
就学前4歳児から実施した場合の予防率は40~80%です。
施設単位で行われるフッ化物洗口は中学校卒業で終了しますが、洗口終了後も予防効果は持続し、20歳では50~58%の予防効果が報告されています。

 

フッ化物配合歯磨剤

歯磨き粉の成分として、フッ素の配合された歯みがき剤を使用する方法です。

日常の歯磨きの習慣の中に取り入れることができるため、簡単に虫歯予防をすることができます。

歯磨き粉にフッ素が配合されているかどうかは、成分表示欄に「フッ化ナトリウム(NaF)」「フッ化スズ(SnF2)」「モノフルオロリン酸ナトリウム(MFP)」が表記されているかどうかで見分けることができます。

フッ化物配合歯磨剤の予防効果
世界的にも数多くの調査があり、報告数が最も多い予防率は30~40%です
成人・高齢者の根面むし歯に対して67%の予防効果が報告されています
フッ化物歯面塗布との複合応用によって、歯面塗布のみの群に比べ乳歯むし歯の減少率65%が認められています

 

フッ素の毒性と中毒症状について

急性中毒

多量のフッ素を誤って一度に摂取した場合、急性中毒を引き起こします。
見込み中毒量は体重1kg当たりフッ素量5mgとされており、症状としては、悪心・嘔吐・下痢などが考えられます。
例えば、体重20キロほどの4-5歳児の場合、見込み中毒量はフッ素量100mgとなりますが、これは一般的なフッ化物洗口液(フッ素濃度225ppm)450ml(45回分)を一度に飲み込んだ場合に相当する量です。
洗口液450mlを一度に飲み込むことは現実的ではなく、実際の事故例は現在のところありません。

 

慢性中毒

フッ素の慢性中毒の症状としては、現在、骨フッ素症(骨硬化症)と歯牙フッ素症(斑状歯)が確認されています。

骨フッ素症(骨硬化症)
骨フッ素症(骨硬化症)とは、骨の形成に影響が出てしまう病気で、症状としては関節の痛みや硬直・脊髄や靭帯の石灰化などが挙げられます。
骨フッ素症は、インドなどの熱帯地方や中国の乾燥地帯でフッ化物濃度が高い飲料水を利用している地域での報告が多い症状で、>8ppm以上高濃度のフッ化物を含む飲料水を20年以上にわたり摂取し続けると、10~15%の確率で発症するといわれています。
日本では水道水の水質基準が定められており、フッ素及びその化合物は0.8mg/L以下と制限されています。

歯牙フッ素症(斑状歯)
斑状歯とは、歯の表面のエナメル質に白い斑点がみられたり、色素の沈着がみられたりする症状のことを言います。
斑状歯の原因はさまざまありますが、そのうちフッ素が原因で起こる斑状歯を「歯のフッ素症」といい、歯の形成される時期(生後~7,8歳)に、2ppm以上のフッ素を含む飲料水を継続的に摂取したことが原因とされています。
水や食物の摂取のより吸収されたフッ素は、成人であればその90%以上が尿として排出されますが、骨の成長期にあたる子どもの場合、その30~40%が骨の構成成分として取り込まれるため、過剰摂取による影響が出てしまうのです。

虫歯予防にフッ素を活用した場合のお口の中に残るフッ素の量は、歯科医院で行われるフッ化物歯面塗布など、高濃度のフッ素を使用した場合でも 1~1.5mgとされています。いずれにしても、毎日飲み込むわけではないので慢性中毒の心配はありません

 



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