口内炎の種類と口腔がんとの見分け方

   

こんにちは。綾瀬駅前のメリー歯科です。

お口の中にできものが出来たとき、多くの方は「きっと口内炎だろう」と思って放置しているのではないかと思います。
しかし一方で、「口内炎だと思っていたら口腔がんだった」という有名人の事例がテレビなどで取り上げられたこともあり、不安に思われている方もいらっしゃるかと思います。

そこで本日は、主な口内炎の種類と口内炎とまちがえやすい病気についてご紹介していきたいと思います。

 

口内炎とは?

口内炎は、口内の粘膜に起こる炎症の総称です。
舌や口の中の粘膜だけでなく、頬や唇、喉など、口内のあらゆる粘膜にでき、中には口内炎と気付きにくいものもあります。

口内炎は疲れやストレスなどで免疫力が低下した時に起こりやすい症状ですが、そのほかにも入れ歯の不具合など外的刺激が原因で起こるものや、ウイルスや細菌、アレルギーや自己免疫疾患が原因で起こるものもあります。

ほとんどの口内炎は、口腔内を清潔に保ち生活環境を整えるだけで自然に治ってしまうことが多いですが、中には抗生物質やステロイド剤、免疫抑制剤の全身投与など、疾患に応じた治療が必要な場合もあります。
また口内炎と思っていたものが実は口腔がんだったということもありますので、2週間以上経っても治らない場合や再発を繰り返す場合は、早めに医療機関で診てもらうようにしましょう。

 

口内炎の種類

アフタ性口内炎

アフタ性口内炎は口内炎の中では最も一般的なもので、境界線がはっきりとした白っぽい浅い窪みのある円形の潰瘍ができます。
唇の裏側や頬の内側、舌の側面などにできやすく、飲み物が染みたり、食べ物が触れたときに接触痛を伴うのが特徴です。
アフタ性口内炎は自然に完治し傷跡も残りませんので、痛みがひどくなければ放置しておいてもかまいません。
アフタ性口内炎には再発を繰り替えず「再発性アフタ性口内炎」と呼ばれるものもありますが、なかなか治らないとき、範囲が広いとき、何度も再発するときはベーチェット病など他の病気の一症状であったり薬が原因の場合もあるので、おかしいなと思ったらすぐに医療機関へ相談するようにしましょう。

主な原因
アフタ性口内炎の原因として多数のものが考えられますが、大きな誘因は免疫力の低下とされています。
健康不良や栄養障害、ストレス、疲労、睡眠不足などで免疫力が下がっているときに、口腔粘膜の表面のわずかな傷から細菌やウイルスが感染することで悪化します。
女性の場合には生理前や妊娠期にも出来やすくなります。
また、ベーチェット病の症状としてアフタ性口内炎が発症しているケースもあります。

【アフタ性口内炎とベーチェット病】
ベーチェット病は、アフタ性口内炎、結節性紅斑などの皮膚症状、眼症状、外陰部潰瘍など全身的な症状が現れる疾患です。
なかでもアフタ性口内炎はベーチェット病の初期症状として現れる代表的な症状で、同時に複数個の口内炎が出来たり、長い年月にわたり何度も繰り返し現れることが多くあります。
ベーチェット病の場合、それぞれの症状に応じた治療が行われますが、口内炎にはステロイド外用薬が使用されます。

治療と対処法
基本的には、お口の中を清潔に保ち、しっかり休養をとり、身体の抵抗力を高め免疫力を回復させることで自然と治癒します。
病院では一般的に、患部の炎症を抑えるための抗炎症成分が配合されたステロイドや殺菌消毒成分が配合されたうがい薬が処方されます。

 

カタル性口内炎

口の中の粘膜が赤く炎症を起こしたり、水泡、ひび割れ、赤いブツブツが出来るといった症状が現れます。
アフタ性口内炎と違い、炎症をおこしている部分とそうでない部分との境界線がはっきりしないため、口内炎であると気が付きにくい場合があります。
お口の中が荒れた状態になり、灼熱感を感じたり、すっぱい物や辛い物が沁みて強い痛みを感じることもあります。
また、粘りのある唾液が分泌されるようになり、口臭がきつくなります。

主な原因
カタル性口内炎の主な原因は、物理的な刺激や傷です。
頬の内側を誤って噛んでしまったり、合わない入れ歯や矯正器具などによる刺激、熱い食べ物による火傷などや薬品などによる刺激が主な発症原因と考えられています。
そのほか、虫歯や歯周病などでお口の内のが不衛生になることも原因につながります。

治療と対処法
原因となる物理的刺激がある場合、まずはそれを取り除きます。
矯正器具が当たっている場合にはワックスをつけて保護したり、入れ歯が合わない場合には当たらないように調整をしたり、被せ物が合わない場合は作り直しをしたりします。
痛みが強い場合には炎症を抑えるためにステロイドを使用したりします。
お口の中を清潔に保つために、殺菌消毒成分が配合されたうがい薬を使用することも有効です。

 

ヘルペス性口内炎

ヘルペス性口内炎は、単純ヘルペスウイルスへの感染により発症するウィルス性の口内炎です。
単純ヘルペスウイルスに感染した場合、最初に発熱や倦怠感があり、高熱になったあと、唇や口の中の粘膜に小さな水疱(水ぶくれ)ができ、歯ぐきの炎症やリンパの腫れといった症状も出るようになります。
また、口の中にできた水疱はやぶれると潰瘍となって強い痛みが生じるため、食事や水分を受け付けず脱水症状になることもあります。
生後半年から3歳くらいの乳幼児がかかりやすく、一度感染すると口内炎が治った後もヘルペスウィルスは体内に潜伏するため、大人になってからも体調を崩した時や抵抗力が低下している時に再発しやすいとされています。

主な原因
単純ヘルペスウイルスへの感染が原因となります。
単純ヘルペスウイルスには1型と2型があり、口の中に発症するのは1型です。
単純ヘルペスウイルスに感染している人と接触したり、物を共有したりすることで感染します。
例えば、同じタオルの使用や口をつけたコップでの飲みまわし、スプーンや箸などの食器の共有、キスなどによってうつるとされています。
感染のリスクがもっとも高いのは症状が出ているときとされていますが、症状が出ていない潜伏期間であっても感染することがあります。

治療と対処法
1週間ほどで自然治癒することが多いですが、高熱や痛みが強い場合は解熱剤や痛み止めを処方します。
症状にあわせて抗ウイルス剤の処方も行います。
ヘルペス性口内炎の場合、通常の口内炎とは原因が全く異なりますので使用する薬には注意が必要です。
口内炎の市販薬の使用でかえって症状を悪化させてしまう危険性もありますので、ヘルペス性口内炎が疑われる場合は自己判断で薬を使用せず、必ず医療機関に相談するようにしてください。

 

カンジダ性口内炎

カンジダ性口内炎は、口腔内にカンジダというカビ(真菌)の一種が増殖して起こる真菌性の口内炎です。
粘膜上に白い膜ができる「偽膜性カンジダ症」、粘膜の表面が赤くなる「委縮性カンジダ症」、慢性化し粘膜の表面が厚くなる「肥厚性カンジダ症」といった症例があります。
もっとも多く見られるのは偽膜性カンジダ症で、症状としては、頬の内側や唇の裏側などに白いこけ状の斑点や膜のようなものができます。
この白い膜はガーゼなどでこすると簡単に剥がれるのが特徴で、剥がれた後には赤くただれて痛みを感じ、出血を伴うこともあります。

主な原因
カンジダ菌は、もともと口の中に存在する常在菌のひとつで、健康なときに症状が出ることはほとんどありません。
しかし、日頃の疲れやストレスなどによる免疫力の低下、ほかの病気や薬物の服用などの影響でカンジダ菌が増殖すると、口内炎の症状を引き起こしてしまいます。
体力が弱い乳児や高齢者、ステロイド剤や抗生物質を長期間にわたって服用している場合もカンジダ性口内炎を発症することがあります。

治療と対処法
真菌であるカンジダ菌の増殖が原因ですので、治療には抗真菌剤が処方されます。
また、他の口内炎と同様に、歯磨きやうがいを丁寧に行いお口の中をを清潔に保つとともに、しっかり休養をとり、身体の抵抗力を高め免疫力を回復させることも重要です。

 

口内炎と間違えやすい病気

口内炎の場合、一般的には2週間程度で自然に治ります。しかし、症状が長引く場合、患部が徐々に大きくなっている場合、再発を繰り返す場合、口内炎だけでなく発熱や倦怠感もある場合などは他の病気が影響しているかもしれません。
特に以下の疾患は症状としては口内炎によく似ていますが、命にもかかわる危険な口腔粘膜疾患です。
「もしかしたら…」「おかしいな」と感じたら、早めに医療機関で診てもらうようにしましょう。

 

白板症(はくばんしょう)

粘膜が白く変化してただれを伴うこともあり、カンジダ性口内炎に類似した症状が現れます。
カンジダ性口内炎との見分け方は、カンジダ性口内炎の場合はこすると白い膜が簡単に剥がれますが、白板症の場合はこすっても白い膜がはがれることはなく、だんだん厚くなり硬くなっていきます。
白板症は必ずしも痛みを伴うわけではないため症状が出ても放置しがちですが、5%~10%の確率で悪性化(がん化)すると言われておりますので注意が必要です。
治療法としては外科的切除が最も有力ですが、白板症は必ずしも癌になるわけではないので広範囲に渡っている場合には切除はせず、予後観察ということもあり得ます。
しかし、舌の縁にできているものや、びらんや潰瘍を伴うものは悪性化(がん化)する可能性が高いので、早めに医療機関で見てもらうようにしましょう。

 

紅板症(こうばんしょう)

紅色肥厚症(こうしょくひこうしょう)ともいわれるもので、舌や歯肉の粘膜が薄くなり、鮮紅色になります。
紅板症は自覚症状を伴うことがほとんどで、熱いものや辛いものがしみたり、歯ブラシが当たるなどすると刺激痛を伴うのが特徴です。
白板症よりも悪性化(がん化)する可能性が高く。約50%の確率で悪性化(がん化)すると言われております。
治療法としては外科的切除が望ましいとされておりますが、治療後にも経過観察を行う必要があります。

 

舌がん

舌がんは、主に舌の縁に現れる硬いしこりで、見た目はアフタ性口内炎とよく似ています。
舌がんは初期の場合、自覚症状が現れないケースも多くありますが、しこりが歯に触れた際に痛みや出血を伴うこともあります。
舌がんを口内炎だと思い、そのまま放置してしまう方も多くいらっしゃいますが、舌がんは進行すると潰瘍となり、痛みや出血が持続的に起こったり、口臭を強く感じるようになったりします。
舌がんは発見が早ければ早いほど完治する可能性が高く、早期に発見できれば5年生存率は97%以上とされています。
2週間たっても口内炎が治らない場合や、しこりがある場合は早めに受診するようにしましょう。

 

まとめ

お口の中にできものが出来たとき、ただの口内炎なのか、もしくは口内炎に似ている別の病気なのか、ご自身で見分けて判断することはなかなか難しいことかと思います。
もしも口内炎に似ている他の病気だった場合、早期に対処することで重症化を防ぎ、仮に手術が必要になった場合でも比較的簡単なもので済ますこともできますので、気になる症状がある場合は早めに医療機関を受診することが重要です。

当院では、口腔がん検診装置「ベルスコープ」を使用した口腔がん検診も実施してます。

口腔内に特殊な光を当てて観察するだけで、がんを含めた口腔内の異変を発見することができますので、身体への負担や不快感もなく、簡単に検査を行うことができます。

ベルスコープを使用した口腔がん検査は一般的には3,000~10,000円程度の費用がかかりますが、当院では、当院に定期的に通院している患者さんを対象に無料で検査をご提供していますので、気になる方はお気軽にスタッフまでお声がけください。

 



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